この雪の下で春を待つ
もしかしたら、何かを悟っていたのかもしれない。これが奇跡であることを…。
だからフーもダメと言われるはずのものを言ってきたのだ。フーは穏やかな顔をしていてその顔が、余計にこれが奇跡だと突きつけているようだった。
リークはしばらく悩んだが、フーを抱き上げる。
「少しだけだよ」
「うん!」
嬉しそうに笑うフーを直視できなくて、リークはフーを抱き上げたまま地下の部屋を抜け出して修道院の外に出る。
外は凍えるような寒さで、フーがしがみ付いてきたのが分かった。
まだ雪も残っていた、偶然出ていた月が地を照らして雪が光を反射させてキラキラと輝いている。