この雪の下で春を待つ
「銅貨5枚な」
「あいよ」
そして、買い物客と店員が話して代金を払う、その僅かな隙を狙って商品を奪う。
何事もなかったかのように裏路地に入りこんだら成功だ。浮かれて鈍くなっている人々は商品が消えたことに気が付いていない。
奪った物を持ってきた布の袋に入れて、家と家のわずかな隙間に隠す。
日が暮れるギリギリまでそれを繰り返し、日が暮れた時にはリークの袋はいっぱいになっていた。
これで何とか越せそうだ。食料と一緒に水と金も頂戴しておいた。
いざという時には金を使えばいい…。この冬さえ越せればこんなところもうおさらばだ。
リークは小走りで街を抜け、修道院に戻って来るとすぐさま袋を崖の下へ落とした。
そして急いで修道院の入り口から身を滑り込ませ、裏口から崖下へ降りて袋を抱えて修道院の中に戻る。