この雪の下で春を待つ

目が霞む。リークの顔が見えない。

ああ、もう時間だ。まだ言いたいことたくさんあるのになぁ…逝きたくないなぁ…

瞼が落ちる。

それでも、フーは何かを言おうと口を開く。でもそれは声にならなくて、リークには聞こえない。だけど、聴こえる。

「リーク、さよなら。迎えに来てね。約束だよ」

リークは起き上がって、フーの体を抱きしめる。冷たい。鼓動が今にも消えてしまいそう…。聞こえているうちに…伝えなきゃ…。

「何がさよならだよ…迎えに行くって言ってるんだから、いってきますの間違いだろ…。なぁ、フー…守れなくてごめんな。今度会えたら必ず守り抜くから…だから、絶対に俺のとこに来るんだぞ。他の奴のとこに行ったりしてみろ、すぐに見つけ出して捕まえてやる。絶対だからな…」

 だから、眠ってもいいよ。お疲れ様、少しの間だけさようなら。いってらっしゃい…。
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