この雪の下で春を待つ

「…いつ、逝った」

「雪が溶ける前。目を覚まして、眠った時だ」

リークは呆然とした口調で、布がかけられた少女の顔を凝視する。

まだ、心の整理がついていなかった。フーは逝っていないと、そう自分に言い聞かせていたせいでもある…。

ダイは深いため息をつき、そうかとただ一言いうとリークの肩を叩く。

「辛かったな。…フーはもう死んだんだよ」

「…フーが死んだ?」

「そうだ、フーはもう目を覚まさない」

言葉が恐ろしいほど簡単に心に入ってくる。
< 185 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop