この雪の下で春を待つ

フーが死んだ。もう目を覚まさない。

そう理解した脳は恐ろしいほど簡単にそれを受け入れて、涙腺を熱くさせる。呼吸も早くなり、どうしようもない感情が心を支配する。

「あ…あぁ…」

「好きなだけ泣けばいい。お前はまだ子供なんだ。いっぱい泣けばいいさ」

「ッ…うわぁぁああああああ!!!」

泣いた。壊れるんじゃないかってくらい、大声を上げて泣いた。

情けないくらい、縋り付いて泣いた。捨てられた時よりも、自分が死ぬって思った時よりも、ずっとずっと苦しかった。

止まらない激情が涙を止めることを許してくれなくて、泣き叫ぶリークをダイはそっとしておいた。泣き止んだときに出してやるつもりで、スープを温めた。
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