この雪の下で春を待つ
『リーク、今度こそ約束しよう』
「何を?」
『世界を見て回って、春を探し終えたらまたここに帰って来るの。私に会い来るの。それでたくさんお話してね。外のこと、きれいな春のこと、みんなみんな私に教えてね』
フーは指きりだよと言うように小指を出してきた。
自分の小指をフーの小指に絡ませる。フーは嬉しそうに笑って歌いだした。
『指きりげんまん、うそついたら針千本の~ます♪ゆびきった!』
小指が離れる。フーは途端におぼろげになって、姿が崩れ始める。
『約束だよ、リーク。絶対に生きてここに帰ってきてね』
「…うん。…おやすみ、フー」
フーが無邪気な笑みを浮かべると、フーの姿は弾け、空気に溶けて消えた。