この雪の下で春を待つ
リサの声に、近くの皆からも人が数人顔を出し始めた。
ポールは数歩後ずさり、舌打ちするとリークの体を投げ出して闇の中に逃げて行った。
少女、フーはとことこと走ってリークの傍まで行くと、その場に屈んで顔を覗き込んでいる。
リサはポールが去って行って方向を見て、罰当たりな奴めと悪態をつき、フーの傍に寄った。
「フー、あんたやれば出来るじゃないか」
「…おっきしない」
「相当派手にやられたんだな。家の裏口の前使うといい。雪を避ける程度は出来るだろうさ」
リサはそれだけ言うと、家の中に戻って行った。
必要以上の交流を持たない。それを徹底しているのだ。他の住民も家に引き返していく。
残されたフーは倒れたままのリークをしばらく見つめていた。