この雪の下で春を待つ

重たい瞼に目を開けるのが億劫になる。

だけど、ここで開かなきゃもう二度と開けられない気がする。

リークは無理矢理目をこじ開けて、胸いっぱいに空気を吸う。冷たい空気が流れ込んできて喉がびっくりして、少々むせた。

生きてる!?

息が出来る。周りの景色が見える。

暗闇の中から抜け出してまたここに戻って来れたことにリークは酷く安心した。

落ち着いてきた頃に辺りを見回す。

どれぐらい時間が過ぎたのか分らないが、最後に記憶のある場所がすぐ近くにある。

上を見上げれば、広がっていたのは空ではなく、家の玄関先などにある庇だ。
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