この雪の下で春を待つ
「あぁ、目が覚めたのかい」
「俺は…」
「フーが目覚めるまでいてやんな。あんたをあのブタから助けたのも、寒さから守ったのもフーなんだからね」
フー…。
少女の名だろうか…。フーは目覚める気配がなく、気持ちよさそうに熟睡している。時々、フーが身動ぎして触れる髪がくすぐったい。
リサの言う通りだ。助けられたのなら礼を言う必要がある。
それに、せっかく気持ちよさそうに寝ているのだ。眠りの番をするのも悪くない。このぬくもりに触れていられるのだからなおさらだ。
リークが頷くと、リサは朝の市に出かけて行った。
リークはもう一度フーに目を向けて、そっと抱き寄せる。
すると、嬉しそうに笑って頬をすり寄せてきた。何となく笑みが込み上げて来て、リークはフーの頭をそっと撫でた。