この雪の下で春を待つ

「うん…ん~」

それから30分ほど経った頃、ようやくフーが目を覚ました。

寝ぼけ眼できょろきょろと辺りを見回したフーは、リークの顔を見たところで止まる。首を傾げ、じっとリークを見つめている。

そんなフーに思わず笑って、リークはフーの頭に手を乗せる。

「助けてくれたんだろう?ありがとな」

「たすけ~?」

意味が分かっていないのか、フーは不思議そうな顔をした。

言葉を話せない、理解できない孤児も多い。フーもその一人なのかもしれないと、リークは少し心が痛んだのを感じた。

それが同情であることに気づかずに…。
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