この雪の下で春を待つ
赤ん坊の頃に捨てられたり、言葉が習得できないままに家を追い出されたりした孤児は言葉を話すことも、理解することもできない。
たとえ声は出せたとしても、それは意味のないただの音だ。誰にも伝わらない。自分でもそれが何なのか分からない。伝わらない悲しみはすら感じることがないのかもしれない。
「フー、あたっか」
「あったかい?」
「あったか!」
いや、少しは話せる。理解できる。
フーは完全に話せないわけでも、理解できないわけでもないようだ。そのことに少し安心した。
フーはリークの顔を覗き込んで、恐る恐る手を伸ばしてきた。小さな手がリークの頬を包む。