この雪の下で春を待つ

「あ…いたい?」

「痛くないよ。フーのおかげ」

「フー、してない」

片言な話し方は幼児の2語文のような話し方が目立つが、十分意思は伝わってきた。

自分は何もしてないよ。だからお礼は言わなくていいんだよ。

フーの目がそんな風に語っていた。

目は口ほどに物を語る。そんな言葉をどこかで誰かが言っていたけど、まさにその通りだと思った。

「フーが助けてくれなかったら、俺あいつに奴隷にされてた」

「奴隷商のポール?」

「知ってるんだ」

「フー、嫌い…。フーのまんま…叩かれた」

「お母さんが?」
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