この雪の下で春を待つ
そう問うと、フーは悲しそうにうつむいてそっと頷いた。
下級の、身分の低い人だったのだろうか。都会の方では身分の低い大人も奴隷に売られていると聞く。
もしかしたらフーは都会で産まれ、貧しいながらも幸せに暮らしていたのかもしれない。
親を奴隷にされ、1人になってここまで流れ着いてしまったのかもしれない。
目の前の少女があまりに不憫に見えて、奴隷商に酷く腹が立った。
ふと、リークは今の自分の心に気が付いてゾッとする。
同情した…?
同情すれば、放っておいていられなくなる。
同情すれば、自分の命が危険にさらされる。ここはそういう街だ。同情で、その場の感情で動けば自分の命さえ守ることは難しくなる。