この雪の下で春を待つ

風が吹き込む。冷たい風に身がすくんで寒さを凌ごうと身を丸める。

フーは大丈夫だろうか…。

ふと頭を過った考えに、慌てて首を横に振り考えを振り払う。

何考えてんだよ!あいつは赤の他人じゃないか!!

そう、赤の他人。

家族でも何でもない。ただ、同じ孤児というだけ。

命を助けられたがそれでも、もう精一杯の礼はした。それでいいじゃないか!!それ以上何を求める…。

リークは大きくため息をついて、寝返りを打った。

もうあの日から3日だ。今日は年越しの日で、今日と明日が盗みに出る絶好の機会なのだ。これを逃せば冬を越すために必要な食料が蓄えるのが難しくなる。

リークは体を起こし鉄格子の向こうに見える外を眺めた。

生憎の豪雪で、降り積もった雪が更に重みを増して、誰もいなくなった廃屋を押しつぶす。今もどこかから家が崩れ落ちる音が微かに耳を貫いた。

こんなに雪が降ってたら流石に露店は出ていないだろう。この前のクリスマスで大分食料も蓄えてある。1人何とか冬を越せる。
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