この雪の下で春を待つ

「…あ゛ぁ!!だから何で俺は」

無意識のうちにフーのことも考えていたらしい。バカバカしくなって、再び身を横たえた。

念のため、明日は盗みに入る。念のためだ…あいつを匿うためじゃない。2人分なんて蓄えれるはずないじゃないか…。

リークは少しでも空腹にならないために、疲れてもいない頭を休ませようと目を閉じた。

翌日、あれほど降っていた雪は止んでいた。

外に出ると修道院の半分は雪に埋もれて、他の家も姿がすっかり見えない。ここにいた孤児の姿もなかった。

だが、よく見ると雪に埋もれた家のがれきの傍に子供の頭がうっすらと顔を出している。

昨日の雪でまた大分死んだのだろう。雪が溶ければここは死体の山になっているに違いない。
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