この雪の下で春を待つ

リークは雪をかき分けて街へ向かった。

生き残ったのだ。生き残ったからには生きるためにもがかなければならない。それがどんなに苦しいことであったとしても、生きることを放棄しない。

いつもなら15分歩けば着く街が、腰近く、それ以上に積もった雪のせいで1時間もかかった。

まだ日が出る前に出たというのに、朝日が顔を出している。

街の方は除雪がされていて、路地などに雪が押しこめられていること以外はいつも通りの街並みだった。

中央に向かうと、人々は露店を出して賑わっていた。この様子だと昨日はやはりなかったらしい。

リークはいつも露店に物乞いをする孤児の数が半分以下に減ってしまっていることに眉をひそめる。

やはり、街にいた奴らも大方死んだのだろう。

年明けと共に去った命はいくつか、それはわからない。無意識のうちにリークは孤児の中にフーの姿を探したが、あの真っ赤な毛布を身に着けた少女の姿はなかった。
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