この雪の下で春を待つ
「リーク、生き延びたか」
いつの間にか歩いていたらしい。
呼び止められ、顔を向ければ花瓶の装飾を依頼してきたジーンが露店を開いていた。
「あんたもこんなことするんだな」
「まあ小遣い稼ぎにな。なんだ、また盗みか」
「生きるために…ね」
「お前には才能があるってのに、それを盗みに使うとは悲しいこった。じゃあ1つくれてやるよ。今日はみんな孤児に恵んでやってるみたいだからよ」
そう言いながら投げて寄越してきたのは、新鮮…なのかは分からないが、真っ赤なリンゴだ。
リークは礼を言ってそれを受け取ると、再び歩き出した。