この雪の下で春を待つ
思いつめた顔で歩くリークに、街の先住人たちは声もかけられず、立ち止まった時、こっそりと持っている袋に食べ物を恵む。
今日だけは彼らは善人になる。
1年の始まりを感謝し、見て見ぬふりをし続ける孤児にせめてもの救済をするために。
そして、亡くなっていった孤児たちに対する冥福を祈り。生きている孤児たちがこの厳しい冬を越せられるようにと願いを込めて…。
リークは我に返った時、重さを増している袋に目を丸くしたが先住人たちがあちこちで僅かな食べ物を恵んでいるのを見て納得した。
もう十分に詰まった袋を担いで街の外へ向かう。
その道の途中でリークは身を寄せ合っている孤児たちが、普段とは少し違うことに気が付いて足を止めた。
普段ならしっかりと接着剤で繋がれたように、寄り添っている孤児たちの間に微妙な隙間があるのだ。それも1組だけでなく、周りにいる孤児のほとんどがそうなっている。
死んでいるのか…いや、違う。肩が上下している。息をしているのだ。