この雪の下で春を待つ

「なんだこりゃ…まさかあいつのせいか!?」

たまたま通りかかったらしい先住人の男が、ぐったりと道に倒れる孤児を見て目を瞬かせる。

その声に集まりだした先住人たちは、リークの姿を見つけると駆け寄ってきた。

「リーク、こりゃどうなってんだ」

「俺も今来たばっか。でも孤児たちが持ってるパン、猛毒が入ってる。体が痺れて動けなくなる」

「はぁ!?新年早々そんな罰当たりなことを…」

「どうせポールだよ。春になればここに奴隷を求めに大量の業者が来る。こいつらを売り飛ばす気だろうよ」

先住人たちは呆れたような、困ったような声を出す。
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