この雪の下で春を待つ
「フー!!」
リークの言葉に驚いたのはポールで、慌てて逃げ出そうとしたが、もともと足は速くなく足場が悪いこの状況、追い付くのは簡単なことだった。
ポールの巨体に体全体で体当たりを食らわせる。すると意図も簡単にポールの巨体は地面に打ち付けられた。
そのせいでポールの腕が緩み、フーは彼の腕から逃れることができた。リークはフーの体を抱き上げ、ポールから離れる。
「フー、もう大丈夫。俺が分かる??」
早口にそう尋ねると、フーは細かく震えた手をリークに必死に伸ばしてきた。
「あ…りり……く…りく…」
リーク、怖かった…。
そう目が訴えてきている。
フーをしっかりと抱きしめてリークは立ち上がったポールを鋭く睨みつけた。