この雪の下で春を待つ
「おいおい、フーまで被害者かよ」
「この毒ってどうすれば抜けるの?」
「…ちっと見せてみな」
男はこの街で唯一医師の資格を持つ、ダイに弟子入りしているのだ。ダイから教わったらしい医学知識を総動員してフーの脈拍や呼吸、体温を診ていった。
数分後、男は少し悩んだ後にフーの頬を撫でた。
「数日はだめだな。だけど水を飲ませて様子を見れば大丈夫だろう。命に別状はない。ミルクを飲ませてやれば栄養もついてもっといいだろうが…」
「ミルクって…そんな」
牛の乳はこの街では高級品だ。孤児が手を出せるものではない。
リークは体中を震わせるフーをしっかりと抱きしめる。
「とにかく、水を飲ませて様子をみな。あいつが孤児を死なせるような毒を使うとは考えらんねぇしな」