この雪の下で春を待つ

男の言う通り、ポールは奴隷商だ。奴隷は生きていなければ意味がない。

捕まえるために使った毒で孤児が死んでしまったら、彼が飢え死にすることになるのだ。命に危険を及ぼすような毒を使う可能性は低い。

リークは頷くと、フーの体を背に背負っていっぱいの袋を肩に担いだ。フーが落ちない様に前かがみになってゆっくりと進む。

「リーク…お前」

「フーは命の恩人なんだ。だから今度は俺が助ける」

驚いてその場で唖然している男を尻目に、リークは町の外に向かって歩き出した。

街を抜ける途中、先住人の誰もがリークがフーを背負っていることに驚きを隠せない様子でじっと視線を向けてきた。だが、リークにはそんなことどうでもよかった。

フーを助ける、守る。

リークの心にはそれ以外何も考えていなかったのだから。
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