この雪の下で春を待つ
「あのすばっしこいのが捕まえられるわけないだろ」
「それにあんた、ここの孤児を奴隷商に売って金儲けしてるんだろう。罰が当たったんだよ」
住民の言葉にポールは言葉に詰まり、威勢を失くす。
図星かと、冷めた目で見つめていた住人はふと背後を振り返った。
「まあ多少、情が移っちまったのもしれないが…。あの子で最後になっちまったからな、3年前の捨て子は…」
そうしみじみに言う住民たちは皆同じように、少年の去った方角を見つめた。