この雪の下で春を待つ
「リーク、あり…が…と」
「うん?」
何度か詰まりながら言った言葉にリークは首を傾げる。
もう日は暮れて、リークとフーは横になって寄り添っていた。フーの体を抱き寄せて真っ赤な毛布で自分とフーを一気に包み込む。
実はフーを連れてきたとき、すっかり持ってくるのを忘れていた。
だが、街の誰かがここまで届けに来てくれたらしく、翌日鉄格子に引っかかっていたのだ。
おかげでこの真っ赤な毛布はリークとフーを寒さから守る役割を果たしている。
フーの髪を撫でて、顔を覗き込んでいるとフーは下を向いて目線をそらした。
「明日…フー…街…戻る」
「っえ?」
「リーク、いっぱい、くれた。…だから、戻る」
予想外の言葉だったのは言うまでもない。これからずっと共にあろうと決めていたのだ。
フーが自分でここを出て行くなんて言い出すとは思ってもいなかった。
自分で落ち着けと念じて、リークはフーを安心させるように微笑む。