この雪の下で春を待つ

「フー、ここにいていいんだ。俺と一緒にいていいんだよ」

「フー、戻る…リーク、フー、いらない」

「そんなことない。俺はフーと一緒に居たい」

フーは首を大きく振ると、顔を上げた。目が合う。

フーの目は涙で潤んで、その涙が頬を伝って流れる。

「リークは…リークは…フー、置いて行った…お金、置いて…置いて行った」

フーの言葉で思い出したのは、ポールに捕まり暴行を受けた日のことだった。

フーに助けられ、同情するのが怖くて深くかかわる前にとお金を突き渡して何も言わずに去ってしまったのだ。

もしかしたら、フーはあの時から自分と一緒に居たかったのかもしれない。

フーの頬を流れ続ける涙をすくって自分の胸にフーの顔を押し付ける。

すすり泣く声が心に突き刺さって自分の行動を呪った。はじめから誰かと寄り添う覚悟を決めていればフーがこんなことで泣く必要はなかったのだ。
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