この雪の下で春を待つ
数日後、フーが突然行きたい場所があるとリークを連れ出した。
久しぶりの外は、更に雪が降り積もっていたが、フーは関係なしに雪をかき分けて進んでいった。
街とは反対方向に進むフーに、思わずどこに行くつもりなんだと思ったが言葉に出すことなく後に続いた。
やがてフーが入って行ったのは、10年前の名残が色濃く残る荒れ果てた山だった。
草さえもまともに生えず、木々も雪の重さに耐えかねへし折られてしまっている。足場もないような山の斜面をフーは飛ぶようにして進んでいく。
リークもそれに続こうとしたが、最初の1歩で雪と腐った木の幹に足を取られて派手に倒れた。
「リーク?」
「…何でもない」
不思議そうな目で自分を見つめているフーに、足を取られたと言うのがプライドに反した。
何事もなかったように立ち上がると、1歩を踏み出す。今度はアイスバーンとなっていて転んだだけでなく、少し滑って逆戻りした。