この雪の下で春を待つ
「フー、こっち来い。危ないって」
「まんま」
「は?」
「フーのまんま」
そう言うと、フーは労わるようにオオカミの毛を撫でる。フーの目には温かな滴がたまって、今にも零れてしまいそうだ。
リークはようやく、フーの言ったことを理解した。
このオオカミがフーの母親だと言う。オオカミは、フーが抱きついてもその毛を撫でても動こうとせずじっとしていた。
「…フーのお母さん?」
「うん…。でも、まんま…おっき…しない…」
耐えきれなかったように、フーは頬に滴を流しオオカミの毛に顔を埋めた。