この雪の下で春を待つ
「まんま、何にも…何にも…やってないのに…」
死はわかっていなくても、母親が殺されたことは何となく察していたのかもしれない。
泣き出してしまったフーをリークは抱き寄せる。土と、血で汚れた顔は痛々しい。涙が顔についた土と血を流して地面に還す。
「フーはいつからここに居たの?」
「…わからない。でも、連れてこられた」
「っえ?」
「怖い…がたがた、お馬さん、引く…」
思い出したように、フーは服の下に隠していた何かを取り出す。
首にかけられていたのは鉄のプレートだ。鎖で繋がれたそれは、冷たくフーのか細い首には重たすぎるように見えた。
プレートには何かが刻まれていた。よくよく見れば、なんとか読める。
『E-200・7/20・00』