この雪の下で春を待つ
「リーク…痛い」
「もうちょっとだから、我慢して」
足の拘束を逃れようとするフーを捕まえ直して、鎖に彫刻刀を当てのこぎりの要領で動かして削る。
フーの首につく、鎖で繋がれたプレートを外すためこの頃リークはフーを捕まえてはこの作業をずっと続けている。
時々鎖がフーの首を絞めてしまい、それを嫌がるフーを足だけで捕まえるのは中々難しかったが、どうしてもリークはこれを外してやりたかった。
奴隷であると象徴するこのプレートを外せば、フーが本当の意味で自由になれるとリークは考えていたからだ。
5日かけて出来た亀裂に彫刻刀を当て、のこぎりの要領で削っていく。だが、刃に凹凸を持たない彫刻刀で削れていくのは本当に僅かな量だけだった。
「リーク…やだあ…」
「取れたらいっぱい遊んでやるから、いい子にしてろって」
動いたら危ないとリークに脅されているせいで、フーは本気で拘束を逃れることができない。
今も一生懸命手をバタつかせ、放せ~と体全体をフルに使って表現しているのだが、リークはそれらを完全に黙殺して手元に集中した。