この雪の下で春を待つ
…-パキッ
「おっ…あれ?」
彫刻刀の刃が太い鎖を両断する。
切断された隙間から繋がれた鎖を外そうとして、リークは止まった。隙間に通そうとした鎖の幅が、隙間よりも大きい。
これでは外せない。やすりか何かで削り取ろうかと思ってまた止まる。
やすりなんてない。かといって布でやっては何十年やっても多分無理だ。残った選択肢は、またこの鎖を切って、両断する事。
「…フー、ごめん。またやり直す」
「いや~!!!」
リークの手が彫刻刀から離れていることをいいことに、フーはリークの拘束を逃れて距離を取る。
「フー、こら待て!」
「やや!痛いのや~!」
小さな地下の部屋で繰り広げられる追いかけっこ。
くるくると部屋を回って逃げ惑うフーをリークは馬鹿正直にくるくる回って追いかける。
小さな地下の部屋でくるくる回っていれば当然目が回り、2人は同時に座り込んでそのまま眠った。