この雪の下で春を待つ
盗みを働く者たちは、住民たちの家に忍び込むか、比較的暖かい昼間に外で露店のように商売をしているところから盗む。
だが、その盗みはネットワークの強い間柄を狙えば数人の大人に追いかけられ、酷いめに合う。
だからポールのように孤立し、追いかけられても十分逃げられる者が狙われるのだ。
先住人たちは見事なネットワークを作り上げ、互いの絆も強い。
だが、よそ者には冷たいのだ。特に、ポールのような罰当たり者には。
このエリア00に好んで暮らす彼らは、旅行客などには気前はいいが嫌々ここに来た者たちには物も売らないほど冷たくなるのだ。
リークは再び駆け出して、少し坂になっている丘を登って行く。
その頂上に近づくと見えてきたのは倒壊した集落。
その奥には大きな修道院のような場所がある。ここにも、数人の孤児が身を寄せ合っていた。
少なくとも5年前の絶頂期にはここまで町は広がっていたのだ。
だが、3年前の冬には今の姿になった。