この雪の下で春を待つ
もう一回くしゃみしたフーは、温かみを求めてリークの懐にしがみ付く。リークは、真っ赤な毛布でフーを包んでやり、抱きしめた。
「雪ってさ、おかしいんだよ」
「おかち?」
「天花って言ってさ、天界に咲く花だって言われている。それなのに、白魔って言って天災に繋がれば悪魔にされるんだ」
リークの言うことはフーには難しくて、首を傾げる。じっと雪を見つめるリークは、寡黙な父が語った話を思い出す。
『人間ほどわがままな奴はいないさ。どうしようもない奴だよ。人間ってのはよ』
『…?』
あの頃父の言うことは難し過ぎて、理解できなかった。
だけど、この地下の部屋に入って、修道院の中にあった本を片っ端から読み上げていくと父の言うことを少し納得した。