この雪の下で春を待つ

「フー、名前変えない?」

「どちて?」

「…フーは、フーって名前好き?」

「うんと…フー嫌い…違うよ?」

「そっか…」

もうこの子はずっと捕らわれたまま。

リークは、それ以上何も言わずに小さな体を抱きしめた。

『人が人を縛り付けて、壊していくんだ』

 父の言葉がまた、耳の奥で聞こえた気がした。
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