この雪の下で春を待つ
4.はびこる悪魔
こんなに笑うのは久しぶりだ。
それはフーも同じことで、また一生懸命雪玉を作ってリークに投げる。今度はしっかりとリークの位置まで届いて、その顔に命中した。
「やった!」
両手を上げて万歳のポーズをとり、ご機嫌なフー。それに対し、リークは口の中に入った雪を吐き出して、恨めしそうにフーを見る。
「やったな、このチビっこ!!」
容赦などどこかに吹き飛んだ。
雪玉を作って即フーの顔面目がけて投げつける。それを食らったフーも反撃に出る。
雪玉を作るのが面倒になったのか、雪をすくって後は風まかせに宙に放り投げる。
ちょうどよく拭いた風が、フーが巻き上げた雪をリークの元に運んで、避けることも出来ずにリークは雪をかぶる。
リークが雪玉を投げて、フーは雪を撒き散らす。
2人がいる場所だけ、雪がもうもうと立ち込めて真っ白になった。その中で、2人のはしゃぐ声と笑い声が凍えた空気に響いていた。