この雪の下で春を待つ
リークは壊れかけた他の建物には目もくれず、まっすぐ修道院に向かう。修道院は半分崩れていて、いつ倒壊してもおかしくない状態だった。
今も、修道院のがれきと残った屋根に大量の雪が降り積もっている。
修道院に近づいたリークは、修道院の壊れた入り口の前で立ち止まると、さっと廃墟を見回した。だれも自分を見ていないことを確認して、わずかな隙間に身を滑り込ませる。
あっという間に修道院の内部に入り込んで、そこから更に奥へ進む。反対の壁まで来ると、床のタイルの1つを外して中へ入った。
修道院に住み込みで働く修道女の反省部屋だったのか、中はそれなりの広さを持っており、簡素な机といすもある。
地下と言えど、修道院の奥の方にある壁には鉄格子が付けられていて、そこからわずかな明かりが差し込む。
この修道院の先は人1人分ほどの小さな崖になっていて、それを利用したのだろうと察しがついた。