この雪の下で春を待つ

リークの言葉にフーは頷いて、よいしょと立ち上がる。

修道院の半壊した入り口。

はじめにリークが隙間に体を入れてそのまま入り込む。中から差し出された手を握り返して、体の小さなフーが隙間に滑り込む。いつもはそうだった。

いつまで経っても握り返されない手。

リークは不審に思って隙間から外を覗く。すると、フーが街の方向を見つめて呆然と立ち尽くしていた。

「フー、どうしたんだ?」

「あ…あぁ…」

「フー?」

何かに怯える様に、街の方角を凝視しているフーはリークの声に気づかない。

リークは仕方なく、隙間を通って再び外へ出る。

「フー、どうし…!?」

言葉はそれ以上、続かなかった。
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