この雪の下で春を待つ
街の方角から歩いてくる1人の少年。歳は9つくらいだろうか。
彼はぼろぼろの服を身に纏って、裸足だった。
…孤児だ。彼が普通の孤児であればリークもフーもここまで驚くことはなかった。だが、彼は普通ではなかった。
服から覗く手足には、斑状の紅斑が広がっていて、ところどころに点状の出血があった。
少年はフーをまっすぐに見つめ、手を伸ばしてきた。
「助け…て…お願い…痛い…」
少しずつ近づいてくる少年にフーは逃げることも出来ずに立ち尽くす。リークが慌ててフーの手を引いて、自分の背後に隠す。
少年はゆっくりとリークに目を向け、手を伸ばしてきた。