この雪の下で春を待つ
「たす…け…て…」
不意に力尽きたように少年は雪の上に倒れた。
死んだようにピクリとも動かない少年をリークもフーも呆然と見つめる。投げ出された手の上に降り出した雪が積もっていく。
その様子をじっと見つめていたフーはゆっくりと少年に近づき、彼に手を伸ばす。
「フー、触っちゃだめだ」
伸ばした手は横から伸びてきた手に阻まれて止まり、そのまま引き寄せられる。
抱きしめられたフーは、厳しい目つきで少年を睨むリークを呆然としたまま見上げる。
「リーク?」
「チフスだ…。薬がなきゃ俺たちなんてすぐに死んじまう」
「ちふす…?」
何言ってるの?と言いたげなフーを抱きしめ直して、倒れた少年をしばらく見つめたがやがて視線をそらす。
フーの手を引いて修道院の入り口まで戻ると、先にフーを修道院の中に押し込めて後から自分が入った。