この雪の下で春を待つ
わかってくれとリークはやりきれないことを悔やんで、フーを抱きしめる。
フーはそんなリークにどうしようも出来ないことを悟って、おとなしくパンをかじった。リークもほっとして、パンをかじる。
時々、こうしてチフスに罹る孤児がいる。
だが、薬もない抵抗力もない彼らが助かる可能性は低い。
助けようとして、彼に触れればたちまち彼の服などについたシラミやダニが自分の服に付き、伝染する。
人から人への感染はないが、不潔な孤児たちはシラミやダニにとって格好の住処。
暖を得るために身を寄せ合う孤児たちにチフスが感染するのは、必然であり、あっという間だ。
リークはそんな孤児の姿を何人も見てきた。だから、触れないことで、1人になることでチフスから身を守った。