この雪の下で春を待つ
もし…とリークは肩を落としながらちびちびとパンをかじるフーを見つめる。
もし、フーがチフスに罹ってしまったら自分はどうするのだろう。見捨てるのか?ここを追い出して、捨てるのだろうか。
即座に浮かんだ答えはノーだ。
今さらフーを見捨てることは出来ない。何が何でも助けようと動くに決まっている。
明らかに変わった自分。それが吉と出るか凶と出るか…。
でも、それでも絶対に後悔しない。後悔するとすれば…
フーを見殺しにして1人で逝かせることだ。もし、フーがチフスに罹ったとしたら、いっそ共に…。
リークの決意のこもった視線に、フーは不思議そうな目でそれを見つめ後一口となったパンを口に放り込んでもぐもぐと口を動かした。
「リーク、ねんね」
「ん、おいで」
フーがリークの腕の中に入り、
横になる。赤い毛布で2人の体を包んでしばらくすると、心地よい温かさが2人を包み込む。眠りの世界に入って行ったリークとフーの寝顔は穏やかなものだった。