この雪の下で春を待つ
「なあ、リークとフーは感染してねぇよな」
若い男が不意に発した一言に、一緒に作業していた者たちが彼を睨みつける。
孤児の話題は禁忌だ。孤児が増え続けるこの街で、孤児に愛着を持つことはご法度だった。
それでも、リークとフーは先住民たちに受け入れられつつある孤児だった。
「リークは警戒して街にも来ないさ。新年の祭り以来、顔を見てないしな」
声を出したのはジーンだった。彼は、内緒で時々あの壊れた修道院に時々足を運んで、そっと2人の様子を窺っていた。
「ま、リークがいればフーも生き残るさ」
話を終わらせる言葉を吐くと、ジーンは再びスコップを振るい穴に土を落とす。
ジーンの意図を呼んだ者たちは黙々と作業を続けた。