この雪の下で春を待つ

穴が埋められたのはそれから3時間近く経った後だった。男たちは互いに苦労を労い、家路につく。ジーンも、すぐに荷物をまとめ家路につく。

家に帰れば、村一番の美人である妻と愛おしい愛娘がいるのだ。

最近、声を出すようになった。まだ意味はないが、自分の顔を見ると小さな両手を懸命に伸ばしてくる娘に愛おしさを感じられずにはいられない。

きゃっきゃっと笑う娘の姿を想像して足は自然と早まった。

「ただいま」

「あなた!アンジュが…アンジュが…」

いつもなら、おかえりなさいと言って娘を抱いて幸せそうに笑っている妻の激しい動揺ぶりに、ジーンは彼女の腕の中に抱かれている娘の姿を見て血の気が去ったのを感じた。

笑っているか、怒っているか、いつも何らかの感情を表に出している娘がぐったりと固く目を閉じていた。

小さな額に触れると、高熱を出していることが一発でわかるほどの熱を感じた。

ただの風邪だろうか、いやこれはおそらくチフス…。
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