誰かの武器としての生き方
仕事にも影響が現れ始めた。

妖怪が現れても、恐れずに戦っていた時のように進めない。命の奪い方は知っていても、生かし方は知らない。また命を奪ってしまうのではと怖くなり、ミカサは妖怪と戦うことができなくなっていった。

「ミカサ、どうしたの?」

「何かあったのか?」

先輩のヒリュウとミズホが心配するが、それにミカサは答えることができない。後輩のヤマトやムサシも「どうしたんだ?」と陰で言っているのを聞いて、ミカサはますますどうしたらいいかわからなくなってしまった。

妖怪とまともに戦えないため、ミカサはよく怪我を負うようになった。こんなこと、前まではなかったのだ。

「うう……」

深く斬り付けられた腕を押さえ、ミカサは医務室のベッドの上で泣くのを必死で堪える。チハヤに言われた言葉がぐるぐると頭を巡り、離れることはない。

「ミカサ、少し話せるか?」

歯を食いしばっているミカサは、カーテンの向こうからハクサに声をかけられる。ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。
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