誰かの武器としての生き方
「……私を、隊から外すおつもりですか?」

ミカサの声が震える。今の自分は武器として役に立てていない。むしろ、みんなの足を引っ張っている。

「いや、それはしない。君は何かに悩んでいるようだから、少しでも話ができればと思ってな」

カーテンを開け、ハクサがミカサの枕元に置かれた椅子に腰掛ける。その目はとても心配げなものだった。

「何があった?話してごらん」

その目は、ミカサが初めてハクサと出会った時のようだった。幼かったミカサは泣きながら家族を失ったことを話したのだ。

「チハヤと、喧嘩をしました。チハヤを、知らない間に傷つけていました」

ミカサは涙を堪えながら、チハヤとの出来事を嘘偽りなく話す。そして、ハクサに謝った。

「隊長、申し訳ありません。私は武器なのに今は誰も守ることができません。武器は武器らしくあるべきなのに……。私はッ……」

泣き出しそうになり、優しい目をしたハクサからミカサは顔をそらす。すると、ミカサの頭に大きな手が優しく置かれた。そして、頭を撫でられる。
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