誰かの武器としての生き方
老婆の口から悲鳴が漏れる。しかし少女は顔色を変えることなく、老婆の腹にナイフを突き刺した。一段と大きな悲鳴が老婆から漏れ、草むらは老婆の赤黒い血で染まっていく。

「……うるさい……」

少女は拳銃を取り出し、老婆の頭に狙いを定める。そして迷うことなく引き金を引いた。

パンッ!!

銃声が山の中に響いた刹那、老婆の体が地面に倒れる。もうそこに生命は宿っていない。ただの醜い肉の塊だ。

「隊長、山姥の駆除が終わりました」

少女は顔色を最後まで変えることなく、上司に無線で報告する。一分もしないうちにやって来るだろう。

少女は山姥の腹に刺さったままのナイフを抜き取る。ナイフには血がべったりと付いていた。その血に少女は冷たい目を向ける。

少女の仕事は、これで終わった。

「ミカサ」

背後から名前を呼ばれ少女ーーー天城(あまぎ)ミカサは振り返る。ミカサよりずっと背が高くミカサよりも多くの勲章を制服につけた男性の姿があった。
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