誰かの武器としての生き方
訓練所には、真新しい制服を着た新人たちが緊張したような顔で並んでいる。ミカサが姿を見せると、さらにその顔を強張らせた。

「気をつけ!!」

「休め!!」

ミカサが命令すると、ザッと音を立てて一斉にみんなが敬礼する。その流れは練習したかのように揃っていた。

「貴様らはこの街に存在する悪しき妖怪たちを駆逐するのが任務だ。この街の平和を守るため、誰かの武器となるのだ。そのために我々には力が授けられている」

ミカサの言葉を真剣な目で新人たちは訊いている。新人たちの制服には、まだ一つも勲章はない。みんなが目を見開き、ミカサの左胸で揺れている勲章を見つめていた。

「新人ちゃ〜ん!ごめんねぇ〜、遅くなっちゃった〜」

ミカサが話を続けていたその時、訓練所に二人の人物が走ってきた。ミカサの後輩の男性だ。

二人とも遅れて来たというのにニコニコ笑っている。一人が口を開いた。

「あたしは朝日(あさひ)ヤマト。ヤマトって名前はあんまり好きじゃないから朝日って呼んでちょうだい!」

整った顔立ちなのにオネエなヤマトがそう言うと、クスクスと笑い声が響く。もう一人の隊員も笑顔で自己紹介をした。

「鈴谷(すずや)ムサシ!困ったことがあったらいつでも俺に言ってくれ!!よろしく!!」

ミカサの所属する隊の中で一番元気なムサシがそう言うと、「よろしくお願いします!」という声が上がった。
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