マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
『ええっと、買い出しに行く前だったので』
『にしても、無さすぎじゃないのか?』
そんなことありません、とは言えなかった。
それもそのはず、高柳さんが開いた冷蔵庫の中は、まるで家電量販店の冷蔵庫売り場に並べてあるものと同じような状態だったから。
冷蔵庫のドアポケットには二リットルペットボトルの水の隣にマヨネーズのチューブがコロンと転がっている状態。電気が点かなくて暗くても、間違えようもないほどにスカスカだ。
冷蔵の正面に唯一詰まっているは――
『見事なビールコレクションだな』
呆れたのを隠そうともしていない声色に、私は若干自棄になる。
『ありがとうございます』
『自炊はしないのか?』とは聞かれなかった。
牛乳やジャムすら入っていない冷蔵庫の中を見れば、聞くまでもないのだろう。
高柳さんは何も言わずに下段の冷凍庫に手を伸ばし、それを開けた。
『―――主食はこれか』
鉄壁上司の唸るような呟きをよそに、私は黙々と荷造りを進めて行った。
『にしても、無さすぎじゃないのか?』
そんなことありません、とは言えなかった。
それもそのはず、高柳さんが開いた冷蔵庫の中は、まるで家電量販店の冷蔵庫売り場に並べてあるものと同じような状態だったから。
冷蔵庫のドアポケットには二リットルペットボトルの水の隣にマヨネーズのチューブがコロンと転がっている状態。電気が点かなくて暗くても、間違えようもないほどにスカスカだ。
冷蔵の正面に唯一詰まっているは――
『見事なビールコレクションだな』
呆れたのを隠そうともしていない声色に、私は若干自棄になる。
『ありがとうございます』
『自炊はしないのか?』とは聞かれなかった。
牛乳やジャムすら入っていない冷蔵庫の中を見れば、聞くまでもないのだろう。
高柳さんは何も言わずに下段の冷凍庫に手を伸ばし、それを開けた。
『―――主食はこれか』
鉄壁上司の唸るような呟きをよそに、私は黙々と荷造りを進めて行った。