マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
「あぁっ、やっちゃった……すみません……」

「いや、俺が急に声を掛けたせいだ。驚かせてすまない」

二人でシンクの中の割れた皿を見ながら肩を下げる。

「ごめんなさい、これいい(やつ)ですよね…今度買ってお返ししますね」

シンクの中で無残な姿になっている北欧ブランドの皿。

「いやいい」

「でも……」

「妻が割った皿を弁償するのか?そうじゃないだろう?夫婦のものは共有だ」

「………わかりました」

ジッと見つめられ落ち着かなくなった私は、それ以上食い下がることが出来ず、片付けようと割れた皿に手を伸ばした。

皿の角に指が触れ、痛みが走る。

「いっ、たぁ」

「切ったのか?」

「ちょっとだけ……」

指先を見ると切った所から血が滲んでいる。

「絆創膏を持ってくるから、それまで流水で流しておいて」

言われた通りに傷口を水道水に当てる。
その間に高柳さんは、素早くテレビボードの引き出しから絆創膏を取って戻ってきた。
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