マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
そんな私が高柳滉太と出会ったのは、大学入学して間もない頃に入ったサークルだった。

そもそもサークルなどに入るつもりもなく、講義以外の時間はアルバイトをしようと思っていた私に、サークル活動を勧めたのは他ならぬ母だ。

『サークル活動こそ、キャンパスライフの醍醐味よ、雪華!』

そんなよく分からない持論を展開した母に押されるがまま、私はESSへと入会した。ESSを選んだのは、どうせなら社会に出た時に役立つサークルがいいと思ったからだ。

そこで出会ったのが彼、高柳滉太だ。

私が入会した時には既に修士一年だった彼は、そんなに頻繁にサークルに顔を出すわけではなく、イベントや大会の時などに後輩の指導がてら様子を見に来る程度だった。

高校を出たばかりの私には、四つ上の彼がとても大人に見えた。
優しくて笑顔の素敵な彼に心惹かれていくのに、そう時間はかからなかった。

いつもとは違う私の様子を高校からの親友はすぐに見抜き、すっかり白状することになった。
初めての恋に戸惑う私の相談に乗ってくれ、応援してくれた彼女とは、お互いが社会に出て別々の道を歩んでいる今も仲良くしている。

< 11 / 336 >

この作品をシェア

pagetop