マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~

大学二年の冬。
親友から初恋の一挙一動を根掘り葉掘り聞かれることにも慣れた頃、私は一大決心をしたのだ。

きっかけはその親友の一声。

『高柳さん、卒業しちゃうんだよ?ゆっかちゃんはこのまま自分の気持ちを伝えないでいいの?』

出会って二年弱。私は彼になんのアプローチもしなかった。正しくは、出来なかった。

それまで脇目もふらず勉強一筋で来た私は、勉強以外のことは何一つ分からない。
当時の私と言えば、ワンレンの黒髪を両サイドで三つ編みのお下げ、重い黒縁眼鏡に、なんのセンスも見当たらない服装。
ずばり“地味”そのもの。

そんな地味な自分にコンプレックスもあって、異性と話すことに慣れていない上、好意を持つ相手にどう話しかけてよいのか分からなかった。

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